『パッシブデザイン』という言葉を聞いたことがありますか?
パッシブとは“受け身”とか“受動的”を意味し、太陽の熱や光・風などの自然エネルギーを利用することで居住性を向上させる設計手法を『パッシブデザイン』といいます。
たとえば、夏は軒や庇で直射日光をさえぎり、窓から入る風を利用して、冷房なしでも快適に過ごせるよう設計する。
冬は、窓からたっぷりの太陽光を取り込んで、暖房なしでも暖かく過ごせるよう設計する。
パッシブデザインの家には、そんな工夫が詰まっています。
2010年にパッシブデザイン発祥のドイツから日本へとこの考え方が入ってくると、高気密高断熱の家を建てる多くの建築会社が『パッシブデザイン』を謳うようになりました。
実際、自然の力を最大限活用するためには高気密高断熱であることが大前提なので、高気密高断熱とパッシブデザインの家には共通点が非常に多いです。
違いがあるとすれば、窓を開けて風の力を取り入れるパッシブデザインに対し、高気密高断熱の家は窓を開けないことが推奨されているという点。
高気密高断熱の家は、気密性や断熱性を高め、機械で空調をコントロールすることで冷暖房効率を高めています。
一方でパッシブデザインの家は、機械だけに頼るのではなく、自然の力を上手に活かすことで快適な暮らしを実現します。
近ごろでは、ソーラーパネルの設置など太陽光の活用が推進されている反面、「風をエネルギーとして利用する」という考えがなおざりにされているように感じます。
初夏や夏の終わりなど、ちょっと蒸し暑いけれど、エアコンなしでも窓から入る風だけで快適に過ごせる日というのは、決して少なくないはずです。
エネルギーの高騰が続く今こそ、パッシブデザインで自然エネルギーをもっとうまく活用していきたいですね。