江戸時代の中期まで、日本では大工の棟梁が主導して家を建てることが当たり前でした。
しかし現代では、現場監督が指揮をとり、職人や専門業者に指示を出しながら家を建てていくのが主流となっています。
“家を建てる”のではなく、“家を売る”ハウスメーカーが台頭したことにより、工事は予定通り進んでいるか、品質と安全はきちんと確保されているかなど、総合的な管理を行う人材、ハウスメーカーと下請け業者の架け橋となる役割が必要とされたことも、大工仕事と現場管理が分離された理由のひとつであると考えられます。
ハウスメーカーに限らず、今では当社のような自社大工の工務店も少なくなり、ほとんどの住宅会社が大工仕事を外注に出しています。
しかし、仕組みが変わって初めて見直される“よさ”というのもありますよね。
たとえば、自社大工の場合、「伝えたいことがそのまま伝わる」という“よさ”があります。
大工仕事を外注する場合、お客さまの要望は営業や設計・現場監督を介して大工へと伝わるため、「意図が正しく伝わっていない」などのトラブルになることも少なくありません。
その点、つかした建築ではすべて大工の裁量で対応できるため、このようなトラブルが起きることもないのです。
さらに、「家をつくっている人の顔が見える」という安心感もあります。
どの住宅会社に依頼するかを考えるとき、最終的には“建てる人”で会社を選ぶという方も少なくないでしょう。
その点、つかした建築では直接家づくりに携わる大工と密に信頼関係を築いていけるので、プランニングから引き渡しまで、安心しておまかせいただけると考えています。
また、高気密高断熱の家では、気密テープで資材と資材の隙間を埋めていくなど、通常よりも細かい作業が求められます。
当然ながら、外注大工の手間賃も上げざるを得ないでしょう。
手間賃を上げずに作業量だけを増やせば、手抜きやミスが出ることも考えられます。
一方で、私たちのような自社大工は、その1人ひとりが自社の名前を背負って仕事をしています。
お客さまの家1棟1棟が自社の実績であるからこそ、工数を気にすることなく細かい作業に没頭できる。精度を上げるためなら、損得勘定なしに手をかけることができるのです。
また、経営者目線では、技術の継承や職人不足も外注大工の大きな課題であると考えています。
日々進化していく家づくりの技術を、社員ではない外注の大工にどこまで継承していくことができるでしょうか。
今活躍している50代後半から60代後半の大工さんたちが引退したあと、ちゃんとした技術を持った大工がどれほど残っているでしょうか。
そう考えると、外注の大工に依存することは、会社にとってもお客さまにとってもリスクが大きいと感じます。
若手の成長が長浜での暮らしを支える底力となってくれることを期待し、つかした建築はこれからも変わらず自社大工で家を建て、確かな技術を次世代へと継承してまいります。