昨今、間取りに取り入れることが増えた『パントリー』。
パントリーとはキッチンに隣接した食品庫のことで、調味料や保存食品、米や調理器具などをまとめて収納できるスペースです。
パントリーが注目され始めたのは、2000年代初頭。2010年代から本格的に普及し始め、2020年代に入るとコロナ禍によってさらに需要が拡大しました。
パントリーのない時代には、食材は冷蔵庫の中だけにとどまらず、冷蔵庫や食器棚の中、上部、床下収納など、あちこちに分散して保管していました。醤油や味噌は勝手口近くの棚に、米は台所の片隅の米びつに。何をどこにしまったのかがわからなくなり、うっかり賞味期限を切らしてしまったり、同じものを何個も買ってきてしまったりということも、めずらしくなかった時代です。
収納できるスペースが限られているので、買い置きできる量にも限りがありました。そのため、「毎日買い物に行っていた」という方も、当時は少なくなかったはずです。
それが今では、パントリーという専用スペースができ、食材の管理がとても楽になりました。在庫が一目で分かるし、まとめ買いもしやすくなりました。
さらに注目すべきは、パントリーの“非常時への備え”としての機能です。
十分な収納量を確保すれば、食品だけでなく、洗剤やトイレットペーパーなどの日用品もまとめて保管できます。賞味期限の長い缶詰やレトルト食品、水、カセットガスなどを普段から少し多めに購入し、使った分だけ補充していく『ローリングストック』も、パントリーがあることで格段にしやすくなりました。
日常時と非常時を分けて考えるのではなく、普段の暮らしで使っているものやサービスをそのまま防災に活かす。こうした考え方を『フェーズフリー』と呼びますが、パントリーはまさに、この考え方を体現した空間といえるのではないでしょうか。
つかした建築では、ただ収納を増やすのでなく、使いやすさを重視したパントリー設計を心がけています。
ウォークインタイプがよいのか、引き戸タイプがよいのか。収納量だけでなく、換気や採光のことも考えなければなりません。何より、保管状況が一目でわかることが大事。
最近では、冷凍食品やミールキットなどを利用される家庭も増えており、冷凍庫の容量不足を補うセカンド冷凍庫をパントリーに設置するケースも増えています。
お盆を過ぎ、夏の暑さも峠を越え、台風の季節がやってきました。最近は地震だけでなく、大型台風や集中豪雨が増え、防災への関心がより高まっています。
長浜は琵琶湖に近く、台風や大雨の影響を受けやすい地域。地震への備えも含め、家族の安全を守るための準備は欠かせません。
高い耐震性能とあわせて、今後はこうした防災面にも目を向けてみてはどうでしょうか。