床といえばフローリング。いまや、それはごく普通の感覚です。
しかし、かつての日本では、居室の床といえば“畳”。
畳の上の座卓やちゃぶ台を囲み、座布団に座って食事をしたり、寝転がってテレビを見たり。そんな光景が当たり前の日常でした。
今はフローリングの上にソファを置いて座る形が一般的ですが、皆さんソファをうまく活用できていますか?
誰かひとりが寝ころべば、「座れない」とケンカになる。
座面や背もたれが洗濯物置き場になっている。
ソファを背もたれにして、床に座ってくつろいでいる。
などなど、「ソファをちゃんと活用できていない」という人も、実は少なくないのではないでしょうか。
そのように考えてみると、一面に広がるあの畳の間は、家族みんなが心置きなくのびのびできる貴重な空間だったのだなと、改めて考えさせられます。
そんな畳のよさが見直されつつあるのか、昨今リビングの一角に『畳コーナー』を設ける家が増えています。
リビングの中心部、フローリングであればラグを敷いてソファとテーブルを置くスペースに畳を敷いた家もときどき見かけます。
つかした建築でも、最近、リビングの全面に畳を敷き詰めた『畳リビング』の家を手がけました。
障子や造作家具で和の雰囲気をプラスし、昔の茶の間のような居心地のよさを再現しています。
小さなお子さまがのびのびと遊べるスペース。
やわらかい藁床の上、親子で思いきりじゃれ合う時間。
遊び疲れてごろんと寝そべれば、いぐさの香りに誘われてお昼寝タイム。
友人を呼んで家呑みし、そのまま雑魚寝もいいですね。
今、『平成レトロ』なファッションがブームだそうで、成人式の振袖や卒業式の袴スタイルも、大柄のレトロなデザインや大正ロマン風の着こなしが人気だったそうです。
定期的に訪れる“レトロブーム”ですが、「昔のものを取り入れる」というのは実は一過性の流行りではなく、私たち日本人の心に深く根付いているものなのかもしれません。
住まいにおいても、今、昔ながらの心地よさが求められています。
畳を単に古いものとせず、そのよさを改めて見直してみてください。