聞き慣れないという方がほとんどだと思いますが、『スケルトン・インフィル』というのは、躯体(ハード)と内装・設備(ソフト)を切り離した構造のこと。
もともとは鉄筋コンクリート造や鉄骨造のマンションなどで用いられてきた構造で、太い柱や梁などの骨組みだけで建物を支えます。住戸内は軽量鉄骨などで間仕切りますが、この壁は耐力に関係しないので、壁を取り払って広い一室にしたり、壁を移動させたりと、住戸内のレイアウトを自由に変えることができます。いわゆる『ラーメン構造』ですね。
それに対し、木造住宅のように柱や梁だけでなく、壁(耐力壁)も使って建物を支える構造を『壁式構造』といいます。
昨今、壁式構造が基本である木造住宅をスケルトン・インフィルにできないかという声が増えています。
スケルトン・インフィルの最大のメリットは、可変性。家族構成が変わっても、ライフスタイルが変わっても、住む人が変わっても、状況に合わせて間取りを変えられる。
100年住宅を目指す今の時代、性能やデザインだけでなく、間取りの可変性も重要なポイントのひとつです。
とはいえ、木造でスケルトン・インフィル構造を実現するのは容易ではありません。
不可能というわけではありませんが、外周の部材が増えたり、大きくなったり、接合部に特殊な金物が必要になったりして、コストが跳ね上がる可能性があるからです。
今、私たちが勉強している耐震構造。
この『構造区画』は、言わば小さなスケルトン・インフィルです。
この構造区画をきちんとつくっておけば、建物の強度を上がるだけでなく間取りの自由度も上がります。部材の大きさが一定になるので、コストダウンの可能性も出てきます。
構造が専門でない設計士も、住宅の長寿化のため、そしてコストアップを避けるため、きちんと構造について勉強していくことが大切ですね。