夏の夕暮れ、強い日差しが和らぎ始めた頃。窓を開けて自然の風を感じながら、畳の上でごろりと横になる。そんな昔は当たり前だった風景が、今の日本では、あまり見られなくなりました。
家がコンパクト化するにつれて、独立した和室を設ける住宅は減少傾向に。生活様式の洋風化が進んだことで、フローリングにソファとテーブルというスタイルが定着し、畳がなくても日常生活に支障がなくなったというのも、和室が消えた一因かもしれません。
ところが、和室が存在感をなくしていくのに対し、畳コーナーの人気はここ数年むしろ上昇傾向に。
畳には、フローリングにはないよさがあります。まず、ちょうどいいやわらかさ。無垢の床も夏はサラリとして気持ちよいのですが、畳はもう少し質感がやわらかく、直接ごろ寝しても体への負担が少ないのがいいですね。
小さなお子さまがいるご家庭では、転んでも安心な遊び場として、お昼寝にも最適なコーナーとして重宝されています。
い草の香りには心を落ち着かせる効果があるため、リビングの片隅に畳があるだけで、忙しい日常の中でほっと一息つける空間になるかもしれません。
つかした建築でも、畳を取り入れた住まいを多く手がけています。
リビングの一角に設けた畳コーナーは、家族が集まる多目的スペース。読書をしたり、お子さまの遊び場にしたり、来客時の応接間としても使えます。
畳が好きなお客さまだと、リビング全体に畳を敷き詰めて『畳リビング』にすることも。大人数でくつろげるゆったりとした空間が、家族の団らんを育みます。
さらに、畳は無垢の床や漆喰の壁といった素材との相性も抜群。畳のい草の香り、無垢の木の香り、それぞれの素材が持つ調湿効果。これらが組み合わさることで、より豊かで心地よい住環境が生まれます。
もちろん、見た目にも調和の取れた、美しい空間に――。
そのほか、近年の傾向としてバルコニーやベランダも姿を消しつつあります。それにともない、ランドリールームや室内干しスペースを設ける家が増えているなど、『タイパ(タイムパフォーマンス)』や『スペパ(スぺスパフォーマンス)』を重視する時代の価値観が、家の間取りにも反映されているようです。
我が家でもっとも重視するものは何か。トレンドに流されることなく、まずは自分たち家族にとって“好きなこと”や“好きなもの”を探してみてください。