これほど鉄筋コンクリート造の建築技術が普及している現代でも、住宅においては木造が主流です。
木造住宅の方が建築コストを抑えられるというのがおもな理由ですが、性能面だけを見ると、やはり鉄筋コンクリート造に軍配が上がります。
たとえば、気密性。鉄筋コンクリート造では、型枠にコンクリートを流し固めて壁や天井などをつくるため、そもそも隙間ができません。
しかし、木造の場合は角材やボードなどの部材を組んで、釘や金物でそれらを固定します。
どうしても継ぎ目ができてしまいますから、気密性を上げるにはこのわずかな隙間を埋めていかなければなりません。
隙間を埋めると言葉でいうのは簡単ですが、実際の作業はそう簡単なことではありません。
構造材やボード、気密シートのジョイントや、サッシ、配管の周囲の隙間。
これらを家じゅう、1つも見逃さずに処理しなければならないのです。
この気密処理は、棟上げの日から始まります。
気密処理などなかった頃は、棟上げから2~3日で外部を仕上げて内部の工事に取りかかっていたところ、今は気密処理だけでみっちり1か月。
気密処理も、ただすればよいわけではありません。当然、丁寧さも必要です。
スマートフォンに保護フィルムを貼るとき、気泡が入らないようにと慎重になりますよね。サッと貼れば一瞬で終わるところ、何秒もかけて丁寧に丁寧に貼りませんか?
私たちが気密テープを使うときも同様で、接着面に空気が入り込まないよう、慎重に作業を行います。
保護フィルムなら多少気泡が入っても「あーあ」で済みますが、気密処理ではちょっとしたテープのヨレが性能の低下につながりますから、責任重大です。
気密性能を数値化したものをC値といいますが、隙間の少ない建物ほどC値は小さく、一般的には1.0を切ると気密性がよいといわれています。
つかした建築の家は、C値0.3以下が標準仕様。
健康で快適な暮らしをつくるうえで必須のこの気密性能は、1か月間こうして手間暇をかけることによって生まれるのだということを、皆さんにも知っていただけるとうれしいです。